成人期ASD検査(A-ASD)
Adult Autism Spectrum Disorders
Self-Rating Scale- DSM-5(米国精神医学会発行の精神障害に診断と統計マニュアル)に準拠した、大人の発達障害[自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害)]をスクリーニング(弁別)するための検査です。
うつ病、不安障害、適応障害等の臨床現場での初診時や、大学・企業等での心の健康診断時に、大人の自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害)を発見するには大変有効な検査です。
著者:福西勇夫
実施時間:10~15分
採点診断:10~15分
発行:千葉テストセンター
特長
- 成人期の自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害を含む)をスクリーニングする検査として利用できます。
- 自己記入式。「あまりない」「ときどき」「しばしば」「いつも」の4つの中から1つだけを選択、実施時間は10~15分程度。
- 自己記入式検査ではあるが、検査者が「知的な障害」「言語の障害」の2項目を特記できる。
- 質問項目は全38項目。(男性は35項目に回答、女性は全38項目に回答する)
- 自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害を含む)にみられる特性として抽出された20項目には、「社会的コミュニケーション及び相互関係における持続的障害」と「限定された反復する様式の行動、興味、活動」のどちらかに関するものが多く含まれている。
- DSM-5の診断基準を参考にして選んだ20項目に加え、ASDにみられやすい二次障害に関する9項目、ADHDなどのASDに併発しやすい神経発達障害に関する6項目を設定。
目次
1.はじめに
なぜ大人の発達障害をスクリーニングする検査の開発が望まれるのか?
(1)一昔前までは「あれは性格だから・・・」で済まされてきた発達障害
(2)DSM-5による発達障害に関する概念の大幅な変更:自閉症スペクトラム障害の概念の登場とアスペルガー
障害の消失
(3)DSM-5とICD-10の違い
(4)高機能自閉症とアスペルガー障害の違い
(5)成人期の高機能自閉症及びアスペルガー障害とWAIS-Ⅲ
(6)大人のクライアントを扱う臨床現場では、アスペルガー障害(高機能自閉症)の人たちが急増している
:アスペルガー障害(高機能自閉症)を的確にスクリーニングすることができれば理想的である?
(7)男性に多いアスペルガー障害
2.ASDチェックリスト作成の試みとその妥当性及び信頼性の検討
(1)第一段階:成人期の自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害を含む)をスクリーニングする
(2)第二段階:男性版、女性版それぞれにチェックリストが必要であり、女性用に3項目追加した経緯
a.男性間、女性間のつきあい方の違い
b.異性間のつきあい方の違い
c.女性用としてA-ASDに3項目追加した理由
d.比較文化的な視点:グループを形成する日本人女性とそうではない米国人女性
e.「パーティ」などの場で浮く?
(3)第三段階:自己記入式検査であるが、検査者が「知的な障害」、「言語の障害」の2項目を特記できる
3.検査A-ASDの施行と採点
実施方法及び採点方法
a.ASDの評価
b.二次障害
c.他の発達障害の合併
d.18歳未満の対象
e.検査者による2項目のチェック
4.本検査で何を目的で用いるのか
アスペルガー障害なのか、それとも自閉症スペクトラム障害なのか?
5.事例
事例1:強迫症状に加え、感覚異常がひどく強い女性のASD
事例2:職場の異動によってコミュニケーションに関する不適応を起こし、出社できなくなった男性ASD
事例3:中学生のいじめの体験から徐々に人を避けるようになり、成人後に自閉傾向がよりひどくなった男性ASD
事例4:上司の辛辣な一言でひどく傷つき、うつ状態を呈して休職を繰り返している男性ASD
参考文献
謝辞
著者プロフィール
福西勇夫(ふくにしいさお)
医療法人社団真貴志会南青山アンティーク通りクリニック理事長・院長
1984年徳島大医学部卒後、東京都医学研究機構・東京都精神医学研究所・リエゾン精神医学心身医学研究部門長を経て、2003年に南青山アンティーク通りクリニックを開院。
2000年から現在までに、米国ボストン市のマサチューセッツ総合病院から客員教授として9回招聘されている。2007年には南イリノイ大学の客員教授として招聘されている。その一方、国内では医学部、薬学部、文学部などの非常勤講師として「精神医学」「精神病理学」「医療心理学」などの教鞭を取ってきた。
関連検査
「成人期ASD、成人期ADHD検査」シリーズ
-
・2016年11月発行
・著者:福西勇夫
・大人の発達障害(ADHD)をスクリーニング
同著者による検査
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